突発性難聴
ぞう吉は40歳のサラリーマンだ。最近は仕事が立て込んでいて、いつも帰りが遅くなっていた。
ある日のこと、いつも通り出勤して仕事をしていると、急に右耳が聞こえなくなった。
風邪でも引いたのかと思い、唾を飲み込んだりあくびをしたりしたが、全く改善しない。次の日になっても改善しないため、しまりす耳鼻咽喉科を受診したのだった。

こんにちは、先生

こんにちは、ぞう吉さん。経過は問診票で確認しました。
急に聞こえにくくなったという事ですが、今までこういった事になったことはありませんか?

特にないです。全く聞こえにくさが治らなくて…

急に聞こえにくくなる病気で、有名な病気に突発性難聴という病気があります。
ご存知かもしれませんが、急に聞こえが悪くなる病気で、原因は分かっていません。
まずは鼓膜を確認し、問題なければ聴力検査を行いましょう。
しまりすはぞう吉の鼓膜を確認した。特に問題なかった。
その後、ぞう吉は聴力検査を行い、再度しまりす先生の診察を受けるのだった。

先生、どうでした?

鼓膜は問題ありませんでした、聴力検査は、こちらをご覧ください。
赤色のラインが右耳の聞こえ、青色のラインが左耳の聞こえを示していますが、赤色のラインが青色より悪くなっています。
右の感音難聴と言いますが、右耳は突発性難聴になっていますね。

ええっ…どうしたらいいですか?

先ほども申しましたが、突発性難聴の原因は不明です。なので何の薬をったら治るか、これについてのエビデンスは今のところ不十分なものばかりなんです。
ただ、一般的にステロイドの投薬、血流改善の薬、末梢神経障害に対する薬、この3種類についてはよく使用することが多く、当院でもそのようにしております。
問題は、突発性難聴は症状が起きてから2週間以内にステロイド投与などを行った方が良いとされており、早めの介入が望ましいという事です。
ぞう吉さんは、糖尿病や緑内障、ウィルス性肝炎、重篤な心疾患、結核などかかったことはありますか?

ないです

ステロイドの副作用について心配される方も多いですが、自己免疫疾患に対する長期処方と違い、1週間程度の投薬で終了しますので、副作用についてはそれほど心配いりません。
ただ、胃が荒れたりすることがあるので、胃薬を一緒に処方します。血糖値もステロイド内服中は上がりますが、糖尿病のない方であれば問題ないと考えています。

なるほど…

差し支えなければ、今日から治療介入しようと思いますが、良いですか?

お願いします

では、今日からお薬を処方して、四日後の木曜日にもう一度来院してください。先に聴力検査から行います。
改善傾向にない場合などは、早い段階で総合病院へ紹介することもありますので、必ずいらっしゃってください。
薬の飲み方についてはあとでうさぎ看護師から話がありますから、容量と用法を守って、内服してくださいね。

わかりました!

では、こちらへどうぞ〜

お大事になさってください
突発性難聴は早めの治療が肝心
突発性難聴は、病態が解明されていないゆえに、治療についての方針が世界レベルでも定まっておりません。
しかし早めの治療が肝心といわれており、これが診断および治療について、他の病気との鑑別に混乱を招く病気となっております。
罹患されている患者さんの数は多く、有名人でもたまにこの病気に罹患したケースもあるため、ご存知の方も多いのではないかでしょうか?
しまりす先生もいっているように、薬については確実なエビデンスのあるものは少ないものの、耳鼻咽喉科医であれば万国共通で上記の薬を使うことが多いです。
ただ、クリニックではステロイドの投与量に限界があり、総合病院での投薬量に比べてどうしても少なめの量しか投与できない為、改善が乏しい場合や、もともと難聴の程度がかなり悪い方の場合、早い段階で紹介させていただくケースもあります。
また、高気圧酸素治療などが有効であるという報告もあり、希望される場合は、これも総合病院でないと施行ができないため、紹介とさせていただいております。
いずれにしても、急な難聴を自覚した場合、早めの治療介入が肝心です。耳鼻咽喉科医にご相談ください。













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