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大田区西馬込の耳鼻咽喉科 南馬込おかばやし耳鼻咽喉科

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首の痛みや腫れ、何科を受診する?

皆さんは、首にまつわる病気を、どの診療科が診察しているか、御存知ですか?

正解は、耳鼻咽喉科です。

耳鼻咽喉科は正確には耳鼻咽喉科頭頸部外科と言いますが、頸部(けいぶ:首)の外科手術も一手に担っています。

後頚部と言われる、頚椎や僧帽筋などの部位については整形外科の領域ですが、それ以外は耳鼻咽喉科疾患がほとんどです。

今回は、そのような頭頸部外科領域の病気、そして口腔咽頭鼻腔にまつわる腫瘍性病変について、話していこうと思います。

こんな症状が、耳鼻科では診察できます

  • 首にしこりがある、腫れがある
  • 首に痛みがある
  • 扁桃腺の痛み、腫れ
  • 嚥下障害(飲み込みづらい、飲み込むときに痛みがある)
  • 顎、舌の下に腫れがある
  • 声枯れがある
  • 長引く口内炎

頭頸部の構造

画像:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 頭頸部外科・頭頸部腫瘍 より引用

咽頭や咽喉、頸部はかんたんには”のど”、”首”と言えますが、その部位は細かく分かれており、それぞれの部位ごとにいろいろな疾患が起こりえます。

1. 頸部リンパ節炎

頸部の腫れやシコリで、一番頻度の高い病気です。

一般的には先行する上気道感染症(風邪)の後に、頸部のリンパ管にウィルスなどが入り込み、リンパ節で免疫細胞に捉えられることでリンパ節が腫れ、痛みを伴います。

ただ、実際の診療においては、あまり感冒に罹患した経緯がはっきりしない方も多く見受けられます。

全世代にわたり見受けられますが、特に小児~青年期の方に多いです。

長期化するときに見分けなくてはいけない病気

長期化する場合は、

  • 亜急性壊死性リンパ節炎
  • 結核性リンパ節炎
  • 悪性リンパ腫などの悪性疾患
  • 悪性腫瘍の頸部リンパ節転移
  • サルコイドーシスに伴う頸部リンパ節腫大など

鑑別する疾患は多岐にわたります。

2. 甲状腺腫瘍

原発関係で一時期知名度の上がった甲状腺疾患ですが、もともと自然発生的に甲状腺腫瘍はできやすい傾向にあります。

特に症状もないため、自身で気づかれて受診するケースはかなり稀であり、健康診断の際に、触診で指摘され受診されるパターンや、頸動脈エコーを健康診断で受けた際に、甲状腺腫瘍を指摘され受診するパターンがあります。

良性腫瘍が多いですが、若年でも悪性腫瘍ができているケースもあります。

日本人の場合、悪性腫瘍でも乳頭癌という比較的おとなしいタイプの癌が多いので、致命的となるケースは少ないですが、頸部リンパ節転移や肺転移をきたしやすいので、注意が必要です。

3. 耳下腺腫瘍

おたふくかぜの時に腫れる部位として有名な耳下腺ですが、腫瘍ができることもあります。

皆さんが想像しやすいのは、コブ取り爺さんのコブですね。

良性腫瘍も悪性腫瘍もいずれもできますが、良性腫瘍のうち、多型線種といわれる腫瘍は、悪性化することがあるため、手術適応となります。

比較的女性に多く、逆に高齢男性にできやすいのはワルチン腫瘍といって、こちらのほうは悪性化することはめったにありません。

まだ分かっていないことが多い癌です

癌の場合、痛みを伴うケースが多いです。

病理診断にて細分化され、比較的珍しい癌であるため、治療法についてエビデンスの蓄積がまだ追いついていない部分もある癌でもあります。

4. 顎下腺腫瘍

顎下腺が腫れる場合、唾石症といって、唾液を口の中に流す管の出入り口に石が詰まってしまう病気が有名ですが、これは急な発症となり、明確に痛みを生じ、腫れてきますので、区別できます。

化膿すると、筋膜間から深頸部膿瘍へ移行することもあるので、しっかり投薬にて介入、場合によっては総合病院での処置や入院が必要となることもあります。

腫瘍は比較的できにくい部位ではありますが、耳下腺同様、多型線種などの良性腫瘍ができることもあります。

また、IgG4関連疾患といって、全身性疾患の一種ですが、これにより両側顎下腺腫大を認める場合もあります。

5. 頸部リンパ節転移

癌の転移ということになりますが、頸部の部位によって原発巣といわれる、おおもとの癌の部位を推定する場所が変わります。

一般的に頸部の癌の場合、咽頭癌や舌癌などの上気道にまつわる癌のケースが多いですが、鎖骨上窩といって、デコルテの辺りに腫れを認める場合、腹部臓器などからの転移であることもあり、注意が必要です。

いずれにしても、触診である程度癌かそうでないかの印象はわかることが多く、癌を疑う場合、原発巣の確認をしつつ、早期に総合病院へ紹介することとなります。

6. 深頸部膿瘍

今まで記載した疾患と異なり、発熱や嚥下困難、頸部腫脹、気道狭窄など、緊急の対応が必要な病気となります。

上気道感染がこじれ、膿瘍となった後、頸部の筋膜間を膿が心臓の方へ向かっていく病気となります。

最初は風邪じゃないかといわれ薬をもらって飲んでいても、一向に治らず悪化していく場合、鑑別する病気のうち、最悪のケースの1つとなります。

縦郭まで進展した場合、心臓に影響し致命的となりますが、普通はそこまで至る前に病院を受診するケースがほとんどです。

ただ、耳鼻咽喉科医以外はあまり存じていない病気と思いますので、のどの痛みがこじれる場合は、早めの耳鼻咽喉科受診が望まれます。

7. ガマ種

舌下腺という唾液腺組織に偽膜性嚢胞を生じる病気です。

病名のごとく、舌の下の口腔底部というところに、ガマのように袋状の腫脹を認める病気です。

手術や注射による治療などが行われることがありますが、同じような病気でデルモイドシスト(皮様嚢腫)というものがあり、鑑別を要します。

8. 口唇嚢胞

小児のお子さんに多い病気です。小唾液腺という、唾液を出す小さな組織に破綻が生じ、嚢胞化したものです。

ぷくっとした嚢胞が唇にでき、歯が当たる、などして破れ、再度形成されなおす、といった経緯をたどることが多いです。

耳鼻咽喉科外来で局所麻酔下に手術するケースが多いです。

9. 上咽頭腫瘍

咽頭癌のほとんどは喫煙などの影響が大きく影響しますが、上咽頭癌はEBVというウィルス感染との関連が指摘されています。

なかなか症状が現れにくく、ある程度Stageが進んでから受診されることが多いように思います。

また肉眼的にもわかりにくいことがあり、頻度もそこまで多くないため、鑑別が難しい病気の1つと言えます。

10. 中咽頭腫瘍

中咽頭癌は喫煙によるリスクが指摘されていますが、最近はHPV感染に伴う中咽頭癌の比率が上がってきております。

主には口蓋扁桃に腫瘍性病変ができることが多いですが、舌根扁桃や、その他の中咽頭部位に原発巣ができることもあります。

また、特殊な良性腫瘍ができるケース、悪性リンパ腫の原発巣であることもあり、鑑別を要します。

11. 下咽頭腫瘍

中咽頭癌と同じく、喫煙によるリスクが指摘されています。

嚥下障害、慢性的な嚥下時痛などで受診され、発見されることがあります。

奥まった場所であるがゆえに、発見が遅れることがありますが、注意すべき疾患の1つです。

12. 喉頭腫瘍

喉頭癌は喫煙がリスクの病気です。

長引く声がれなどがある場合、ファイバースコープで確認する必要があります。

急に癌となるというよりは、白板症といって、前癌病変ができた後、その後癌化するケースが多く、早めの介入が望ましい部位ではあります。

また、他にも下記のような鑑別する病気が多々あります。

  • 声帯結節
  • 声帯ポリープ
  • ポリープ様声帯
  • 喉頭肉芽腫など

13. 鼻腔腫瘍・副鼻腔腫瘍

おもには急性副鼻腔炎に罹患されやすい方の一部の方が、副鼻腔の粘膜肥厚を起こし、ポリープとなるケースが多いです。

こうなると薬などで治ることはないので、画像精査の上、手術となるケースがあります。

稀に、急性副鼻腔炎だと思っていたら、根っこに上顎癌や乳頭種、真菌症などが隠れていた、といったケースがあるため、急性副鼻腔炎はしっかり治るまでは、治療を続ける必要があります。

14. 舌癌

若年の方でも罹患することがあります。

熱いものを食べたり飲んだりすることが多い方や、歯と舌の接触が多い方は、気を付ける必要があります。

舌癌はいきなり発症することは少なく、喉頭癌と同じように白板症という前癌病変からスタートし、その後癌化していくケースが多いです。

長引く口内炎かと思っていたら舌癌だったというケースも多く、注意が必要です。

15. 口腔癌

舌癌と同じような経緯で発症します。頻度は少なめですが、症状が長引いている場合、早めの受診が望ましいです。

首の腫れや痛みなど気になることがあれば、まずは耳鼻科を受診しましょう

他にも気を付ける病気は色々あります。

それぞれの病気に対する説明は非常に難しく、難解となっていくので、簡易に説明、とさせていただきました。

気になることがあれば、早めの受診をお願いします。

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