扁桃周囲膿瘍
(へんとうしゅういのうよう)
わん子は、5日前から喉が痛かったが、市販の薬で様子をみていた。
普段ならそれで改善することが多かったが、今回は一向に良くならない。むしろ、状態は悪化するばかりだった。
特に3日前頃から口が開けにくくなり、食事もままならない。不安を募らせながら、わん子はしまりす耳鼻科を受診したのだった。

こんにちは、先生

こんにちは、わん子さん。かなり苦しそうですね。

はい…口を開けるのも痛くて。全然良くならないんです。

のど風邪の中には、かなり重篤な状態になる病気もあります。
わん子さん、今日はファイバーで喉の奥までみてみましょう。
しまりすは鼻と喉を診察した。
口は開けにくく3cm程度しか開けることができない。右口蓋扁桃の外側がかなり腫れ上がっているのがみえた。
しまりすはファイバーを鼻の入り口から挿入し、喉仏の内側まで挿入、中の状態を観察した。

わん子さん、お疲れ様でした。

先生、ありがとうございました

わん子さん、喉仏の内側までファイバーで観察しましたが、非常にまずい状態です。
扁桃周囲膿瘍といって、口蓋扁桃の外側の空間に膿がたまっている状態です。周りの咀嚼筋が炎症の影響をうけて、口が開けにくくなっています。

一刻も早く大きな病院へ紹介し、穿刺、あるいは切開排膿の処置を受ける必要があります。
抗菌薬などをの飲んでいれば治る病気ではありありません。場合によっては首の筋肉の間を膿が伝って下降し、心臓の方まで到達することもあるような病気なんです。
急ぎ紹介状を作りますので、どんぐり総合病院の耳鼻咽喉科にこのまま受診しましょう。

そんなに悪い状態だったのですね。
もっと早く来れば良かったです。紹介状、お願いします。
しまりすは急いでどんぐり総合病院耳鼻咽喉科宛てに紹介状を作成した。
診察時間が午後であり、どんぐり総合病院の受付時間を過ぎていたため、電話にて連絡、受けいれokとのことで、フクロウタクシーを呼んで、わん子を総合病院へ送った。
油断してはいけない、のど風邪
扁桃周囲膿瘍は、のど風邪と聞いて耳鼻咽喉科医なら、まず鑑別に入れる病気であり、そして他の科の医師はあまりご存じない病気です。
我々耳鼻咽喉科医は、この病気と、急性喉頭蓋炎という病気の存在、恐怖を知っているため、のど風邪を診察する場合、気安く大丈夫でしょうといいません。
のどは上気道とも言いますが、気道は閉塞すれば窒息し死にいたります。
上記の2疾患は、そのリスクのある病気なのです。もちろん他にも恐ろしい病気はありますが、これらの2疾患は意外と罹患率が高く、油断なりません。
のどの検査のご案内
しまりす医師が行った、のどのファイバースコープ検査は、このように病気の判別にとても有効です。検査に関する詳細な説明はこちらのページで紹介しておりますので、ご覧ください。













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